みなさんは、学校で、学校生活について、地域のことについて、日本社会のことについて、国際社会のことについて、自分事として考え、周りの生徒や先生と議論をした経験はありますか？私は、考えることも議論もしてみたかったけど、充分にできませんでした。

　私は高校生の時、理不尽だと感じた服装規定を変えるため、意見箱の設置と服装規定の改訂を公約に掲げ、生徒会長になりました。しかし、生徒会に入ってみると、「生徒の自治組織」というよりも、例年通りの決まった仕事だけをやる場だと感じました。また、どの先生に意見を伝えに行ってもとりあってもらえず、たらい回しになるような状況でした。そこで、そもそも学校で生徒と先生が学校生活について議論をする制度も風土もないことが問題だと気づいたのです。

　ブラック校則は学校における重大な問題として注目されて久しいですが、ブラック校則自体だけでなく、そうした時代や人権観に合わない校則や習慣に疑問を唱え、議論してみる機会がないことも問題ではないでしょうか？学校生活やその他様々なことについて、生徒同士、生徒と先生、（もしかしたら先生同士も）で議論が生まれない背景として、そもそも生徒も先生も学校生活について議論をするものだと思っていない、「議論しても意味がない、何も変わらない」と考えていることがあるのではないでしょうか？

　そんな「学校で議論をする風土が無い」という課題そのものは解決することができないまま、私は高校を卒業しましたが、この課題は全国の高校にもあるのではないかとずっと考えていました。この課題意識から、2023年1月に、「生徒が学校生活で自分の意見を言いやすい環境をつくる」ことを目標に、ミライエコールは始まりました。

　立ち上げから２年半が経ち、ウェブメディア運営、イベント運営、アンケート調査の実施・分析、学園祭への出展などを行ってきました。多くの方々に知っていただき、たくさんご協力いただいたり、新たなメンバーをたくさん迎えたりすることもできました。一方で、結局ミライエコールは「なぜ、どこにどう変化を起こしたいのか」が少し曖昧なままで、実際に日本の学校教育に変化を起こすにはまだまだパワーが足りないと痛感しました。

　そこで、2025年春、改めて、Vision（ミライエコールが目指す理想の学校）として
A. 学校において生徒の意見表明権が守られる
B. 生徒が自分の立場や置かれた環境について批判的に考え、自分と違う考えをもつ人とも前向きに話し合える

　Mission（Vision実現のためにミライエコールが行いたいこと）として
①生徒のエンパワーメント
②社会への問題意識への共有
を定めました。（詳しくはこちらをご覧ください。）

　冒頭で触れた通り、私たちは「生徒が自分たちの生活のルールを民主的な議論を経て決めていないこと自体が問題」と考えています。

　Missionは、「学校で議論が生まれないこと」がなぜ問題なのかの答えになっていると思います。学校で全ての生徒と先生が主体的に議論できる風土は、今ある学校で子どもの意見表明権を守るためにも、子どもたちの批判思考力を育むためにも必要だということです。また、学校生活についての議論に限らず、挨拶の冒頭に述べたような多様なテーマについて自由な議論ができる学校であったらいいな、と思います。

　ミライエコールは、Missionをまっすぐ見据えながら、そのために具体的に何をすべきかを考え、また関連する様々な活動を行う方々や団体と広く強くつながり、これからも活動していきます。MissionやVisionにしたがい、2025年現在行っている具体的な活動は、活動紹介のページを覗いてみてください。 　代表としても、Missionの実現への希望と責任感を常に一番強く持ちながら、着実に成果を積み重ねるため、誰よりも考え、動いていきたいと思います。

　ここまで読んでくださった皆さん、ミライエコールに興味を持ってくださり、またこの挨拶を読んでくださり、本当にありがとうございました。少しでも活動に共感していただき、これからも活動を応援していただけたら幸いです。 　もし何かご意見やご質問がありましたら、CONTACTまでお願いいたします！

2025年11月1日　ミライエコール代表　東京大学　山口世夏